中野区 税理士 おおしま会計事務所

これだけは知っておきたい!個人事業・会社経営の基礎知識

会社について

会社設立の注意点

資本金の額:株式会社って1円から作れるんでしょ?資本金っていくらにすればいいの?

基本的に資本金とは、当初の資金繰りをまかなうためのものであるということを念頭において考えてみてください。
現行の会社法では資本金1円から会社設立は出来ますが、これは現実的な金額とはいえません。
会社設立当初から事務所・店舗の家賃、商品の仕入代金、人件費、水道光熱費、広告費、通信費、旅費交通費などさまざまな支出があります。
これらの支出をまかなうのが資本金です。
どの程度の支出が必要になるかは、個々の会社によって異なります。
事前の売上計画を考慮して最低限、3~6ヶ月の経費の支出をまかなえる程度の資本金をご用意されることをお勧めいたします。
また、資本金が著しく少ないと、取引先や金融機関など対外的な信用という面でよい印象も決して与えません。
このような基本を踏まえた上で、細かい支出を節約するという観点から以下のような点に留意していただければと思います。
まず設立時の登録免許税の観点から、登録免許税は、資本金の1,000分の7と15万円のいずれか大きい金額となりますので、資本金2,143万円までは登録免許税は15万円で済みますが、これを超えるとその額の1,000分の7の金額となります。
これを考慮して資本金の額を決定する考え方。
また、忘れてはいけないのが、会社を設立して事業所を設置しているというだけで住民税を納付しなくてはなりません。
たとえば、東京都23区の場合は法人住民税の均等割税額は以下のようになっています。

資本金等の額 従業員数 都民税
50億円超 50人超 380万円
50人以下 121万円
10億円超  50億円以下 50人超 229万円
50人以下 95万円
1億円超  10億円以下 50人超 53万円
50人以下 29万円
1千万円超  1億円以下 50人超 20万円
50人以下 18万円
1千万円以下 50人超 14万円
50人以下 7万円

つまり、資本金1,000万円以下で従業員数50人以下の会社であれば、毎年、納付すべき法人事業税の均等割は7万円ですが、資本金1,000万円超で従業員数50人以下の会社であれば、毎年、18万円の法人事業税の均等割の負担が必要になります。これは、売上のある・なし、多い・少ないにかかわらず、事業所が存在する限り応分の負担が求められるものですので、この負担も考慮しておかなければなりません。
また、税務上、消費税はその課税対象期間の前々事業年度を基準期間として、その間の売上を課税売上高として、基準期間の課税売上高が1,000万円未満の事業者は、納税の義務が免除される仕組みとなっています。
これを事業者免税点制度といいますが、新設法人については、設立したばかりで基準期間となる前々事業年度が存在しませんので、原則として課税が免除されます。
言い換えれば、前々事業年度と前事業年度の2事業年度にわたって消費税が免除されるというのは大変魅力的な制度です。
この事業者免税点制度については、基準期間の売上のない新設法人について、資本金1,000万円未満の法人についても同時に、免税事業者とされてきたため、資本金を1,000万円未満の額にする会社も多くありました。
これについては、平成23年度税制改正により、従前の条件である2期前の課税売上高が1,000万円未満であることに加え、直前の事業年度等の上半期(特定期間)の6ヶ月の課税売上高も1,000万円未満であることが条件として加えられました。
つまり、直前事業年度の上半期(特定期間)の課税売上が1,000万円を超えた時点で、自動的に課税事業者となることとなりました。
この改正は平成25年1月1日以降に開始する事業年度より適用されます。
この特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるか否かの判断については、実際の課税売上高のほか、特定期間中に支払った所得税法に規定する支払明細書に記載すべき給与等(役員、正社員、パート、アルバイトなどの給与、賞与、賃金すべてをさす)の金額に相当するものの合計額をもって、特定期間における課税売上高とすることも合わせて定められています。
この改正により事情も少し変るように思いますが、いずれにしても、1,000万円がひとつの区切りになるかもしれません。

決算期を決めよう!決算期の決め方

まず、基本的に決算月とは会計期間が12ヶ月の場合、年末、年度末にあたりますので、暦の12月決算とするとか、行政上の年度末である3月決算にすることが多いようです。しかし、会社の資金繰りという観点から決算月の2ヶ月以内に税務上の申告・納付期限が到来しますので、税金の負担を考慮して、比較的資金に余裕の見込めるあたりで決算月を定めていただくのが一番かもしれません。
また、税務上、消費税は、その課税期間の前々事業年度(基準期間)における消費税の対象となる収入が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除される仕組みとなっています。
これを事業者免税点制度といいますが、新設法人については、設立したばかり基準期間となる前々事業年度の課税売上高は存在しませんので、原則として課税が免除されます。
前々事業年度と前事業年度の2事業年度にわたって消費税が免除されるというのは大変魅力的な制度ですから、この適用を受けるべく資本金を1,000万円未満にして会社を設立するケースが多くあったことは先にも述べたとおりですが、この場合、注意すべきは「事業年度」という単位です。
通常の会社は1年間(12ヶ月)を事業年度とすることが多いようですが、設立時の事業年度については、設立日から事業年度の末日までを「1事業年度」と数えます。
例えば、設立が11月に12月末決算の1年決算の法人を立ち上げた場合、第1期の事業年度は11月から12月末までの2ヶ月、第2期の事業年度は翌年1月から12月末までの12ヶ月間となりますから、第1期、第2期合計の月数は14ヶ月ということになります。
一方、設立が11月で、10月末決算の法人を設立した場合、第1期は11月から翌年10月末までの12ヶ月間、第2期は翌年11月から翌々年10月末までの12ヶ月間で、第1期、第2期の合計月数は24ヶ月となります。
せっかく「消費税の免除」という特典を受けるのであれば、長い期間受けられたほうが得ですので、いつから事業をはじめるかをよく考える必要があるかもしれません。
「資本金の額」の項目でご説明したように、平成23年度税制改正により、消費税の課税事業者免税制度の改正がここでも影響するので、十分に検討が必要です。

お電話でのお問い合わせ 平日 9:00~17:00